ハゴロモ (日本語) 単行本 – 2003/1/20
よしもと ばなな (著)

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失恋の痛みと都会の疲れを癒すべく、故郷に舞い戻ったほたる。雪に包まれ、川の流れるその町で、これまでに失ったもの、忘れていた大切なものを彼女はとりもどせるのだろうか―。言葉が伝えるさりげない優しさに救われるときはきっとある。人と人との不思議な縁にみちびかれ、自分のをあらたにみつける静かな回復の物語。

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人の気持ちをハゴロモって表現するのは、
とてもいい言い方だな、と思った。

ばななさんのでは、きちんと何かが好きな人っていうのが
出てくるなと思った。
洗濯が好きとか。食器がきちんと揃っているとか。
それと、キーワードみたいに出てくるものがある。これでいうと、川とか。

リハビリって、『が聞こえる』の中でも読んだな。
あれは、スポーツ選手の友達だから出てきた言葉、ってなっていたけど。
不倫の恋から立ち直るのに、リハビリって言葉はやっぱり適当なのかも。
もちろんそれ以外にも、当の怪我や病気じゃないときでも、
人間ってリハビリが必要だ。
だからこういう言い方は、正解なんだと思う。

彼がなんでもしてくれることが、
逆にいつもそうやって奥さんにしてあげている、
奥さんが本当に体が弱いんだと生生しく分かってしまう切なさとか。
ずっと点けているテレビの虚しさとか。
普段忘れてしまいそうなさりげない、でも本当のこと。
それに不思議なようでも、人間には第六感っていうものがあって、
そういう精神的な力って実はオカルトじゃなくて普通にあるもので
ただ忘れてしまっていることが多いというだけのことなんだって気がする。
世界は実はちゃんとつながっていて、単純だったりもするものなんだと。
るみちゃんが言っているみたいに、ほたるは戻るために戻ってきて、
子どもを産んで、るみちゃんの保育園に入れる。
そんな出来すぎみたいに、世の中実はちゃんと、なるようになっていくのだ。

鳩のエピソードは、さらりと書いてあったけどすごかった。
世界が違う。その通り。
小学生の時学校で見せられたを思い出した。
雀を飼っていた小学生が、焼鳥屋のメニューでスズメがあって
ひどい!っていう子どもに、お父さんが諭すような。

土地の夢っていう言葉、なんか凄いな。

気の毒じゃない感じで、母親の看病を続けているみつるくんが、
凄いなと思った。
でもみつるくんはきっと、頑張ってそうやってるわけじゃないんだよね。

所謂幽霊を見ることが、『境がうすくなる』っていう表現も綺麗だなと思った。
隣り合わせというか、同じものって日頃感じているので。
そういう、現世と死後の世界ってやつ。

「後を追ってももう追いつかない」っていう
みつるくんのお母さんの台詞には、ぐっときた。すごくなんだか、納得がいってしまった。
もう今からでは、追いつかない。
そうかもしれない。
事故死した人と自殺者の霊は、同じ階層には行けないから後を追っても
一緒になれないとか、そんないじわるで残酷なことじゃなくて、
もう運命が分かれてしまったから、そこから大分経ってしまったから、追いつけない。
そっちの方が、納得がいく。

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