【読了】図書館危機図書館戦争シリーズ(3)

図書隊はただの正義の味方ではなくて、守る為に血を流すことも、手を汚すことも厭わない。
このあたり、きちんと自衛隊などに取材をされている先生ならではの
芯の通った設定であり描写であると思う。

今回郁が初の大規模戦闘に参加ということもあり
描写もそれなりにえぐいところなどにもそれを伝えようという意図が伝わる気がする。

郁とお父さんの会話、兄との会話には泣いてしまった。
堂上と小牧の執り成しも良かった
ただ、どうしても母親は好きになれないし、
郁には兄と父がいてくれて良かったなと羨ましくなってしまう。

差別用語について、作家である以上今まで非常なご苦労があったろうと思ったが
実際経験したことも随分元になっている描写のようだ。
床屋の何がいけないのか。
しかし、自分も放送禁止用語であることをこれを読むまで知らなかった。
作家やメディアにいなければ、飽く迄も自主規制の範囲ということもあり
知らない人の方が多いとは思うが
こういった無関心が、悪法の成立を容認してしまうのだと反省する。

痴漢行為や芸能人の特集本、美術品
どれも興味のない人からすれば「そんなことどうでもいい」「別にいいじゃないそれくらい」
と一笑に付されるようなことだ。
現実にそういったことはあるし、それで泣き寝入りをするしかないケースというのも
残念ながら少なくはないはず。

特に痴漢行為は、男の人から見れば「ただ触られただけでしょ?」という感覚なことも
多いのではないかと思う。
図書隊の面々は皆真剣に怒ってくれるけれど、ちょっとそこは女性の希望が入っている気もした。
郁がされたことも大概だが、毬江ちゃんが何をされたのかと思うと中々に気が滅入る。
小牧や堂上が怒ってくれるというのは、少し救われる描写だった。

小さいことだが、酒の後にスポーツドリンクを飲むのは
酒で脱水症状になっているわけだし正解のはずだが…。
何が問題なのかと慌てて調べたが、アルコールが回ってぶっ倒れるなんて
都市伝説や思い込みのはず。
その点だけ少し気になった。

2014.7.12