宇宙兄弟 Blu-ray スタンダード・エディション
小栗旬 (出演), 岡田将生 (出演), 森義隆 (監督)

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役者さんたちは悪くないと思うのだが、全体的にミスキャスト。
特に六太と両親、ケンジは違うだろう、と思ってしまった。
情報公開当時言われていたことだと思うが
六太は大泉洋さんだったら最高だった。
大泉さんだったら、髪型は勿論だけれどコミカルだったり
洒落のきいた話しぶりだったり、そそっかしかったり
なのに恰好良かったり、といった六太の魅力が
全て表現出来たのではないかと思う。

この映画ではあまりに六太の魅力が表現されていなくて、非常にがっかりした。
これでは頼れる兄よりただの駄目兄貴だ。
宇宙という派手な舞台よりも、宇宙兄弟の物語は個々の人間の物語が
素晴らしいと思う。
脇役ひとりひとりに至るまでバックグラウンドがあり、重みがある。
勿論それを2時間ほどの映画で描くのは無理だ。
シャロン博士がごっそりカットされているのも
閉鎖ボックスが1班だけなのも理解はできる。
しかし、ならば何故六太からの視点だけに限るなり
2次試験に合格した時点でエンディングにするなりしなかったのだろう。
シャロンが描かれないと片手落ちになってしまうエピソードは多いし
英語が喋れる理由もフォローされない。
せめて、弟に先に行かれるまでは宇宙飛行士を目指して勉強していたから
ぺらぺらだったのだ、という描写くらいあっても良いのに
ヒビトを守る為、ではなく単にいじめられる六太の幼少時しか
出てこない。
原作が未完な上2014年3月時点で23巻もある中で
129分の映画に10巻までのエピソードを入れようというのは
あまりに欲張り過ぎだったのではないか。
しかも何故か原作通りにせず、印象的な台詞やシーンを継ぎ接ぎしているだけ
その上変える必要性がわからない点を変更してしまっているし
順番も前後しているので
原作ファンには納得のいかない内容だろう。
アニメがあれだけ丁寧に作ってくれているだけに
映画の改竄っぷりが酷く感じる。

原作を読んでいないとわからないだろう描写もあるのに
原作ファンにとっては噴飯物の変更をするのは頂けないだろう。
たとえば、サッカーファンでも原作ファンでもなければ
ジダンの名やエピソードの説明もなく、何故六太が頭突きしたのか
がわからないと思う。
ただ突然、頭突きという寸頓狂な方法で上司に暴力を振るったように見える。

冒頭の台詞の改変から違和感を覚えっぱなしだった。
UFOを見た時に未来が見えたような気がした、のと
UFOを見て俺月へ行く!というのではニュアンスが変わってしまう。
些細に感じるかもしれないが、重要な冒頭のシーンだ。
六太が兄として弟より先に、というよりも
単に優柔不断で迷った上口からでまかせを言ったようにしか見えなかったのも
非常に残念な点。

六太の語りも中途半端にしか入らないし
ケンジはあんな人を強い言葉で諌めるキャラクターではない。
六太のナレーションもなく六太のケンジに対する印象も知らされず
いきなりむっくん、けんじ呼びで打ち解けてしまっている。

椅子のネジを緩めたのが左側になっていることや
ヒビトの事故の内容を変えていることも理由がよくわからない。
助かった理由も描写もないあのエンディングは、自分は好みではなかったし
兄弟愛が描かれていたようには思えなかった。

原作との差異をあげていては枚挙に暇がないが、
六太が自分自身で宇宙を志し始めたところに、ヒビトが母に送らせた
書類審査の結果が届く。
本来映画のように受け身ではないし、やる気が無いわけでもない。
また、星加さんのキャスティングは悪くないけれど
堤さんならもっと原作に近い真面目な実直な星加さんも
演じられる実力のある俳優さんなのに、随分と軽い演技だった。
何より、星加さんが
実力も才能もあるのに運が無いことで宇宙飛行士になれないなんて、
と六太の元同僚たちに話を聞きに行ったりするエピソードが
カットされた代わりが
「兄弟で宇宙飛行士なんで夢があって良い」
という台詞。
そんな理由かよ、と思わず声が出た。

=兄弟で宇宙飛行士になる話。
一番思って欲しくない誤解だと私は思う。

ヒビトのリフトオフを見に行くのも
ただ行っているだけで、施設見学に行くわけでもなく
グリンカードのエピソードの伏線にもならない。
宇宙飛行士の死についてのエピソードが無いので
ヒビトの遺書も唐突。
漫画やアニメでは、複雑だった六太の気持ちも空模様も
すっきりと晴れ、そんな心持で弟を送り出す六太が恰好良く
鳥肌がたち感涙したシーンなのに
映画ではもやもや優柔不断な六太が突然出会ってその後は出てこない
ヤンじいに諭されているだけ。
六太が自力であの心境にたどり着かないのでは全くの改悪。
ケンジたちとの友情も描かれない。
むっちゃんの良さが伝わらないし、ヒビトをみおくる気持ちに全然ぐっとこない
これは酷い。

閉鎖ボックスは漫画もアニメも非常に素晴らしいエピソードなのだが
あの感動の台詞がこんな使い方をされ
福田さんもやっさんも中途半端、溝口という名前だけれど
特に溝口っぽくもなくこれも中途半端。
ケンジのキャラクターを出そうとしているのだろうなというのはわかるが
やはりこれも中途半端。
グリーンカードがケンジと六太にしか出されないのもあの内容なのも
何故なのか理解に苦しむ。
福田さんをきちんと描かないなら、ケンジが模型を壊して
むっちゃんがそれを見てしまった、という描写で何故駄目なのか。
そもそも、何故模型という形で後々にくるエピソードを
こんな無理矢理に詰め込んだのか。

ぼんやり流し見するには良いかもしれないが
宇宙兄弟という名前を冠している作品としてはあまりに酷い出来で
とてもがっかりした。

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