【読了】ハツカネズミと人間 (新潮文庫)

1937年の作品。戯曲のように感じる物語でした。
夢と現実や生きていくことの難しさなど、人間を描いた作品であると思います。
タイトルがいまいちピンとこなかったのですが、
『To a Mouse(ハツカネズミに)』というロバート・バーンズの詩に由来しているそうです。

自分は動物より人間が優れているとは思っていないので、
レニーが悪意が無いとしても小動物を殺してしまうことについて
どんな言い逃れも出来ないものだと感じます。
噛まれたから殴るというのは、
しかも自分の力が人より非常に強いと常々ジョージから言われていながら、
それをしてしまい結果動物が死ぬというのは、
もはや未必の故意に近いものであろうと思います。

カーリーの妻を殺してしまうというのも、
騒がれたくないという身勝手な理由。

すぐに忘れてしまいやった後に後悔することが
免罪符になるとは思えません。

ジョージがなぜ、本当は血縁関係も無いレニーに対して
ここまで面倒見が良くなれるのか、少々不思議でした。

キャンディ老人の愛犬に対しての処遇なども含めて、私には共感できるところがなく
読後感の悪い物語でした。