ゴールデンカムイ 21 読書レビュー

ゴールデンカムイ 21 (ヤングジャンプコミックス) (日本語) コミック (紙) – 2020/3/19
野田 サトル (著)

ギャグとシリアス展開の緩急が相変わらず絶妙。
些細なことで言えば、アシリパさんの為に買った味噌を
勿体無いとか罰当たりなとかいった発想は無しに
投擲武器代わりに投げるのも厭わないシビアさ。
から一転して二人で床に寝そべってお絵かきをしだすような
ノリが面白い。

火打ち石などで火を起こすのも
普段はマッチがあるからお祈りをするときにしか使わない。
「どうすれば残せるんだろう」
というアシリパさんの言葉は胸に響く。
便利な道具を使うこと自体は悪いことではない。
廃れていくものがあるのも仕方ない。
しかし文化、生きていた証を残したいというのは
どんな民族にもあるのではと思う。
自分は日本文化が廃れていくことに恐怖を感じる。

残したいという焦りから活動写真を撮ろうとするアシリパさん。
素晴らしい技術だけれどすべてを残すには十分じゃない、
自分たちで大切にする気持ちがないと残らないと
悟るところが強く恰好良い。

斑文鳥の身の上話での谷垣さんとチカパシが
伏線になっているとは。
寂しいしあっさりした別れだが、そこが二人の
男らしい別れ方にも感じるし、
チカパシが幸せになれる選択でもあると思う。
ソリから落ちていなければそうならなかったかもしれない。
だが、落ちた。それが運命というやつなのだ。

久しぶりの土方さん登場も、食えない感じが良い。
この先どうなっていくのだろうか。

杉元がアシリパさんを大切にしたい気持ちもわかる。
だが、「私のことは私が決める」という彼女の言葉も正しい。
あの局面で矢を番えることができるアシリパ。
それを見て咄嗟に毒矢だと叫べる杉元。
するなではなくしようが聞きたいと言われて
「俺たちだけで金塊を見つけよう!!」と杉元が言うのが
初期の頃の杉元が帰ってきた感じがして
とてもワクワクする。
続きが楽しみだ。