佐藤健さん主演での映画化ということで、興味を覚え読んでみました。
映画は機会を逸して未見です。
タイトルが印象的で、各メディアで大絶賛されていた印象でしたが、
正直30分とかからず読み終えられてしまう内容の浅さで、
とても”古典””小説”とは思えませんでした。
ライトノベルやケータイ小説と言われればまだ納得がいくかな、という内容です。
読んで毒になるような内容ではありませんが
少なくとも私は期待したような内容ではなく、命についてなど
響く描写もほとんどなく、淡々とあっさりと、深いところに切り込むこともない
ストーリーでした。
現実にファンタジーが紛れ込む設定は大好きなのですが
その分納得のいく練り込みが必要と考えます。
突然悪魔がやってきて、なにかを消すことで一日寿命を貰える
という設定時代は面白いのですが、消すということについての捉え方が非常に曖昧です。
”電話を消す”と言っても、電話とは何を差すのか、機種なのか概念なのか
世界的になくなるのか、その辺りが非常に適当です。
時計がなくなって、主人公は仕事を休んでいるからさほど困らないが
世間は時計がなくても出社しています。
その人たちは元々時計がなかったと思っているのか
突然なくなったのか、説明がなく混乱の描写も曖昧なのです。
また郵便配達員になったきっかけが父からのハガキだというのですが、
折角貰ったハガキを水にひたして切手を剥がすというのが
自分としては理解できませんでした。大切ならハガキごと取っておくのではと思ってしまったので。
制服についても、部屋に一式持ち帰っていることにやや違和感がありましたが
これについては洗濯のため持ち帰ることも有りえます。
しかしながら、白いワイシャツにストライプのネクタイ、チャコールグレーのスーツというのはどういうことでしょうか。
平成24年から合併していますが、合併以前の郵便局株式会社、
つまり窓口であれば、確かにチャコールグレーのスーツでしたが、
配達員はネイビーのポロシャツとパンツです。
配達員という設定にしている割に、窓口業務の人の制服を
事細かに描写するというのはどういうことでしょうか。
日本ではない、現実の日本ではない、のかもしれませんが
それにしてもニアミス過ぎます。
筆者の方が勘違いされているのではないでしょうか。
大事な設定部分がこのように全て曖昧で
きちんとした下調べもない様子なところに、説得力のなさをよりいっそう感じてしまいました。
2016.9.18