【読了】陰翳礼讃 (中公文庫)

本文にもあったが、言ってみれば作家の妄想なのである。
もし鎖国したままだったなら、などと私自身妄想することがあるが
果たして、その場合万年筆や電気器具などが日本古来のものになっていたか
というと、自分にはそこまでの想像力がないので
ここまで言い切ることは出来ないものの、着眼点が面白く、興味深い。

自分は江戸時代の文化が非常に好きなのだが
闇の話はなるほどと唸らされた。
漆器や女性の紅など、蠟燭の明かりの中にあってこそ美しさが際立つものは
古来の日本文化には多いと思う。
日本人は古民家や寺社などに立ち入りほっとしたり懐かしい気持ちになったりして
気持ちが落ち着くが、日本人の血が、程良い陰翳に落ち着きを見出すのではないだろうか。

キャンドルナイトなどというイベントもあるが
蠟燭の明かりを見て静かな気持ちになるのは、やはり日本文化なのだろうと思わされた。

その他、救世軍の活動について
日本人の気風に合わない、追い立てられて忙しない思いになる、など
日本人としての誇りや日本文化について
思い出させてくれる内容だと思う。

2014.10.21