【読了】ふたりの距離の概算 (角川文庫)

「古典部シリーズ」現時点での最新作となる本作。
アニメをきっかけに読み始めて、やっとここまで追いついた。

今回の舞台はマラソン大会という一日、
しかも奉太郎が走っている間だけという時間の経過の中で
回想を交えつつ新入部員が仮入部の後退部してしまった謎を追う話だ。

ちょっと無理があるように感じる展開や設定もなきにしもあらずだったが
メンバーが2年生になり、後輩が入学してくるというのがなんだか新鮮で
とても良い。
ちーちゃんがお見舞いに来たというエピソードは個人的に
色めき立ってしまった。(笑)
他にも、それぞれの関係が進展していっていることが読み取れ
高校生の成長過程の描写が甘酸っぱく微笑ましい。

今回のタイトルも色々な意味に取れ、洒落ているなと感じた。

大日向さんの問題が解決したわけではなく、
ハッピーエンドと言い切れる終わり方でもなくちょっと切ないが
奉太郎がちーちゃんを、証拠などはっきりしたものではなく
感覚で信用していて、事態をなんとかしようとするというのもとても良いと思う。
謎解きというよりは、青春小説の面に重きを置いた作品ではないかと思う。

2014.6.18