進撃の巨人(11) ネタバレあり感想

進撃の巨人(11) (講談社コミックス)
諫山創

流石のミカサも全く迷いがない訳ではない。
それは当たり前だ。苦楽をともにしてきた同期なのだ。
考えてみれば、ライナーはこの時点で既に
相当の訓練は受けてきていた訳で、対人格闘訓練も
エレンに対して手加減をしていたことになる。

エレンも巨人の状態でハンジの指示を聞けるようになっているのだが
それでも巨人になる練度で言ったら
ライナーとベルトルトには敵わないに違いない。
二人の連携能力もある。

エレンの身柄が奪われてしまうのは
予想できたこととは言えショックだ。
味方はハンジを始め満身創痍。
馬を運ぶ手段がないからすぐにエレンを追えないまま5時間。
絶望的状況である。
ミカサが泣き叫ぶ、怒り狂うというのではなく
「なんでエレンは私達から遠くに行くんだろう」
と静かに言うところがまた心にくる。
そんなミカサとアルミンのところにハンネスさんが来てくれて
「いつものことだ」と言ってくれるのが染みる。
「俺はヤクタタズの飲んだくれの兵士で十分だった」
「お前ら3人が揃ってねぇと俺の日常は戻らねぇからな」
泣ける台詞だった。
闘志を取り戻し糧食を食べるアルミンとミカサ。

彼らの予想通り森にいるライナーたち。
巨人の能力といってもやはり万能ではないのである。
そしてよくわからないのがユミルの立場だ。
エレンよりは知識がありそうだが、ライナーらの仲間ではない。

エレンが自分の母の話をしたときどう思ったのかと問うと、
気の毒だと思った、と答えるベルトルト。
エレンからすれば怒りしか無いだろうが、ベルトルトも辛くないわけではなかったはずだ。
「オレがまだ甘かった。オレは頑張って
お前らができるだけ苦しんで死ぬように努力するよ」
というエレンの言葉、少なくともライナーの胸には刺さっていたのだろう。
古城で一緒にいたユミルから齎される情報。
俺達とエレン、どちらがクリスタを助けるのに頼りになるか。
情報がないエレンにとっては、切れるカードがなさすぎる。
聞いているしかないのがもどかしい状況だ。