府中三億円事件を計画・実行したのは私です。 単行本 – 2018/12/7
白田 (著)

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漫画の連載を読んでいたが冗長に感じ、
原作はどんな感じなのだろうと思い読んでみた。

小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿されたものが
単行本化された本作。
この手の本はいくつか読んだが、中でも一番
腑に落ちない作品だった。
多くの人が期待するのは真犯人なのでは、というところなのだが
公開されていない遺留品はこれです、くらいで
真犯人ならではの心理や行動の描写がほぼ無く
彼女を裏切り親友の彼女と恋に落ちる話がメインだ。

緻密に準備して成功したという感じもない。
自分が読んだ中では真保裕一先生の『奪取』などは
犯罪の準備が緻密に組み上げられていて
フィクションならではの描かれない部分もあって読みやすく
犯罪が成功するにもリアリティが感じられた。
しかし本作は詳細な描写も無ければ
フィクションならではの面白みもない。
かと言って文章が上手いわけでもないので、
ただただ読んでいる内に終わってしまった。

犯罪を計画し、準備している過程が、
親友が「準備中だ」「まだ用意できない」というくらいで
車は用意できた、これは難しいという主人公の感想だけなのだ。
三上のキャラクターはやや魅力的だが
それ以外のキャラに全く魅力が無いところも大きい。
ちょくちょく入る主人公による読者への語りもうざったい。

犯罪を計画し準備もしたが中止にするのは良い。
それなら計画がばれないように証拠は隠滅するだろう。
父親の警察手帳などを何故回収しなかったのだろう。
動機もよくわからないし、学生運動についてもイマイチ必要性が無い。
必要性が無いが事実だから記しているという見方もできなくはないが。

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