サブスクリプション2.0 衣食住すべてを飲み込む最新ビジネスモデル (日本語) 単行本 – 2019/6/21
日経クロストレンド (編集)

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定額で使い放題―。通話料などで設定されていた「サブスクリプション」型のサービスが今、モノの販売手法として急速に拡大している。トヨタ、キリン、パナソニックなど業界大手がこぞって参入、旧来の頒布会モデルなどを「サブスク1.0」とするなら、「メーカー参入」「シェア型」「個別カスタマイズ化」という特徴を持つ新サービスは「サブスク2.0」へと進化を遂げている。その最前線を「衣」「食」「住」「動」「楽」の5分野で徹底取材、24社の取り組みと特別講座を通して、事業成功の法則を詳解する。

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定期購入自体は、確かに目新しいサービスではない。
牛乳や雑誌なども謂わばサブスクである。
この本曰く、サブスクリプション2.0の目新しさと可能性は
非常に面白いと思っている。

自分自身がサブスクに注目し始めたのは、この本の中にも書かれている
airClosetの登場がきっかけだった。
定期的に届いてそれを消費する、定額内でデジタルコンテンツが使い放題
というのはよくあったし利用もしていた。
しかし、所有ではなく使用して返却し、また使うという方法が
非常に新しいと感じたのだ。

様々な成功事例だけでなく、撤退した事例なども書かれており
衣食住から始まり項目ごとに種々のサブスクが掲載されている。
サービス開始に至るまで、またはサービス中のエピソードなども
載っていて面白く勉強にもなる。

時代が変わり、あるいは戻ったとも言えると思うが
シェアリングエコノミーという言葉が使われるようになり
人々は忙しく、手間を省いて自動で届けてくれるサービスは
それだけで利便性がある。
かつ、必要なものを必要なときだけ使えるのは
コスト的にもエコロジー的にもメリットがある。

ラクサスのサービスも、使用したことはないが
検討したことがありよく知っている。
マナーの悪い1%のために99%の優良顧客が割を食うのはおかしい
という考えの元に、『顧客』だけを相手にする方針が潔い。
そのお蔭でコストカットもできているそうだし、
クレーマーや扱いが荒い人は利用停止処分にするという
強気に見えるやり方をしても、9割は謝罪して継続利用する
というのが非常に興味深い。
甘やかしても付け上がるだけなのだ。
昨今くだらないクレームにすぐ謝罪してしまう傾向も見られるが
自信を持って良いサービスを提供しているなら
これくらい強気で良いと思う。


レナウンの着ルダケというサービスも面白い。
成程と思ったのが、
男性はズボンなど肌に直接当たる洋服の共有に不快感を示しがち
という点だ。
女性の方がそこは割り切ってその分沢山の種類を試したいのかもしれない。
こういったポイントに気づいてサービスを修正していけるのも
データを集めやすいサブスクならではだ。
そうした顧客の声に対して、ほぼセミオーダーで採寸までして、
スーツは他の人には貸し出さず保管。
翌年の同じシーズンに利用してもらうというのは驚いた。
2年ごとに新品に変えるというし、元が取れるのかと心配になるが、
解約されたら状態の良いものは中古販売に回るルートも
きちんと整えてあるところが素晴らしい。

スーツを購入して手元に置いておきたい、
お洒落で金銭的にも余裕のある人との棲み分けもできていて
既存事業とバッティングしないというのも良い。
交換し放題ではなく半期に一度に決めてあるのも英断だ。
折角セミーオーダー気に入ったら買取可能というのも確かに魅力だ。

KARITOKEのサービスが凄いのは、
借りたいものがないのに月額料金が発生すると満足度が下がるから
借りない月は月額料金がかからないという
サブスクには珍しい設定なところ。
蓋を開けてみたら高いプランが人気だったというのも面白い。 

キリンのホームタップが、
きちんと使えと顧客にアナウンスするのではなく 
サーバーの再設計に一年かけたという気合の入り様には感心した。

消費が追いつかないと単に高単価なビールが
毎月送られてくるだけのサービスという印象になるというのは
全くそのとおりだ。KARITOKEやラクサスの項にもあったが
欲しい物が見つからない、すぐに探せないなど
満足度が下がっているのにお金がかかるタイミングで
解約しようと思い立つことが多いだろう。

長期休暇に追加注文してサーバーごと実家に持って帰る人もいるという
コミュニケーションの活性化にも役立っているというのも良いし
そうした利用シーンを顧客に提案することで
継続して契約してもらえるようにするというのも納得だった。

パナソニックのThe Roastが、ハードウェアだけでは駄目と考え
焙煎機とコーヒー豆のサブスクを始めたというのも
大企業なのにすごいなとも、だからこそできるのだなとも思った。
生豆と焙煎で珈琲の味は9割決まるから、抽出だけ頑張っても駄目。
本当に美味しい珈琲を飲んでもらうには豆から提供する。
サブスクの継続率は8割と高いが10万円のイニシャルコストが高い
というのも一般家庭からしたら少々悩む価格設定だ。
そこで無理をして価格を下げるというのではなく
25万円のエキスパートサービスを始めたという発想が良い。
アプリで自分好みの焙煎プロファイルを作成できるようにしたら
プロに売れた。何故なら価値が分かるプロには破格の値段だから。
それでなくとも
個人で払う10万円は高く感じても、店舗や企業で払う25万円は
共用範囲内だろう。

OISIXは自分も利用している。
オススメの商品を勝手に届けてくれるシステムだが
自分の場合は常にカスタマイズしている。
そうでなければ自分には不要のものが届いてしまうこともあるからで、
事前にこのカスタマイズをしない利用者は解約しやすい
といのはさもありなんと思う。
ホームタップと同じで、消費が追いつかない高単価な商品が
毎月送られてくるだけの印象になってしまうだろうから
注文の締め切りが近いが大丈夫課というアラートを頻繁に出すことで
カスタマイズ忘れ、ひいては解約を防いでいるのだ。
満足いく商品が届く、安全、美味しい、という熱狂があれば
人はそのサービスを当たり前に継続して使用するだろう。

ADDressが空き家問題にもアプローチできて、
常連の来訪者がいることが地域の活性にも繋がるというのが良い。

パーソナライズドシャンプーが追い込まれたときに
顧客からの再開を待ち望む声が励みになったというのは感動する。

多くのサービスで従来持ちにくかった顧客との接点、
クレーム以外の意見がもらえるというのは
B to C と言えど人と人との関係なのだから
互いのために良いことだろうと思うし
逆に意見を汲み上げられないサービスは低迷していくだろう。

メルスプランの項目では、通常使用だと
コンタクトが勿体ないからもう少し使おうと素人判断で
使用期限をオーバーして健康被害を起こしていたが
三ヶ月後に三ヶ月分のレンズが届くことで使用期間を守るという
モチベ、コンプラが働きやすく、検診の習慣もつきやすいというのが
興味深かった。
コンタクト体験と共に、目の安心と安全を提供できる。
その利点から眼科医も推奨してそれが追い風になる。
全員が得をする構図は続きやすい。

車関連のサービスも、モビリティカンパニーを目指したり
EVを伝える為の費用として割り切るというあり方も
ある意味新しい宣伝・広告費用と考えられる。
ボルボのサービスが、新車納入までに時間がかかり
それが顧客流出の機会になることを防ぐ為にできたというのも
面白い発想だと感じた。
正にチャンスをピンチにした例であり、
顧客が不満を覚えるタイミングに新車を試せるという
顧客満足を与える機会に変えた。逆に日本酒のサブスクは、自分にあった日本酒を探せない顧客が
非常に満足しており、日本酒の良さを伝えるという目的も達成できていながら
サブスクを利用することで日本酒を知り自分で選べる自信がついて
顧客がサービスから卒業していってしまうというのが
サブスクの難しさを感じる。

ただそうした失敗例だとしても、データを収集できるし
可能であればサービス内容を細かくアップデートしていけるというのは
サブスクの良いところでもあるだろう。

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