AX アックス (日本語) 単行本 – 2017/7/28
伊坂 幸太郎 (著)

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最強の殺し屋は―恐妻家。「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。『』『』に連なる殺し屋シリーズ最新作!書き下ろし2篇を加えた計5篇。

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グラスホッパー、マリアビートルときて
この3作目が一番好きかもしれない。
それぞれに特色のある作品で、本作は基本的に
兜の目から見たことが書かれている。

殺し屋なのに兜が人間味があって、
恐妻家でもあり家族を愛しているというキャラ設定も独特。
しかも本人が、人殺しをしている自分が幸せになっては
いけないのではないかと考えるような真面目さがあり
『悪い人』のはずなのに共感してしまう。

友達が出来たと思ったらトラブルで失い
次に友達が出来たと思ったら実は同業者で
というのもちょっと切ない。

割と早い段階の地の文で兜が死ぬことが予告され
哀しく思いながら読みすすめるしかないが
その中で多少の救いというかほっとできることも起こる。

息子の克巳がとても良い子で、お父さんに同情的なところも
面白く読んでいたが
最終的に父が自殺したはずはないと調べ始めるところに胸が熱くなった。
遺品を整理しながら思わず「また会いたいな」と思うところや
誰にとっても死は恐ろしいものだと医者に言われて、
「そんなことはないですよ。父がこの世で一番怖いのは母ですから」
と笑って言うべきだと思うのに涙が出てしまうというのも
なんともリアルでぐっとくる。

克巳にとっては良い父親だったのだ。

兜が死んでいないのではという期待もあったが
奈野村の為に死に、文字通り医者に一矢報いた兜。
確かに家族に見られたら『取り返しがつかない』ものだったし
克巳が医者に会ってしまったあたりから
どうなってしまうのか冷や冷やしながら読んでいた。
正攻法ではなく、日本の法律に照らし合わせれば
すっきりしたと言ってしまうには微妙とは言え
奈野村が彼は彼で殺し屋なのに律儀に克巳を見守ってくれていたことが嬉しい。

そして最後に読み終えて本を閉じ、
AXというタイトルに思いを馳せてしまう、面白くかつ切ない不思議な物語だった。

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