鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐ 単行本 – 2014/9/24
上橋 菜穂子 (著)

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上橋先生特有の、文化、風習など世界観が綿密に練られており、実在するどこかの時代、どこかの国の年代記を読んでいるような気になる。

ネットのレビューを読んでいて思ったが、
確かに万人受けするというか、読みやすいのは精霊の守り人や獣の奏者かなと思った。
それに比べると内容が重めだと思う。
元々先生は子供向け、大人向けとしてわけて書いておられないということだから当然なのだが
敢えて分類するのならば、これは比較的大人向けのファンタジーだと思う。
たとえばトールキンの指輪が原子爆弾の比喩であると思う人がいたように
思わずこの物語の中に描かれている様々場問題と、現実に溢れている様々な問題とを重ねあわせ
あのことではないのかと思わず思ってしまう人もいるのではないか。

それが、気を殺がれるとかマニアックだと感じる向きには
ちょっと向かない内容なのかもしれない。

よくある『子供用』の物語のような善悪に分けられた書き方ではなく
それぞれの思想や立場があり
民族の習慣や動物の習性、病や免疫などについて
非常に論理的でリアリティがあり、
繰り返しになるがノンフィクションを読んでいるような気持ちになる。

独角の頭であったヴァンにとって
ユナが救いになっていることが嬉しく
飛鹿をきっかけにしてまた居場所を見つけられた彼の
幸せを祈らずにはいられない。
どうか奪われないようにとドキドキしながら読んでいる。

読み終えて本を閉じたときに、表紙の美しさ
飛鹿の神々しさに改めて魅せられた。

2015.4.25

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