原作未読。
映画を見ているだけでは、なぜ瑠璃子が春夫にひかれるのか
わからずに急な感じがした。
淡々としている夫より、嫉妬深い男に惹かれたのだろうか。
夫の聡は瑠璃子がなにを言っても相槌ばかりで
本当に話を聞いているのだろうかと、見ていてもちょっと苛々した。
聡がしほに惹かれるのは、わかりやすい気がした。
人間離れした印象の瑠璃子より、若くて溌剌として積極的で
感情がころころ変わる活発なしほ。
しほが、「奥さんは大丈夫ですか」と心配する言葉を投げつつも
さりげなく扱き下ろす辺り、惚れた男の気を惹きたい
女そのものの行動で腹が立った。
淡々として冷静に話が進むようでいて
ところどころ感情を逆なでたり不安にさせたりする
リアルさがあり、面白く見た。
役者陣が贅沢なところも魅力のひとつだろう。
夫婦がそれぞれに不倫をして、でも元鞘に収まる話
といってしまえば身も蓋もないし
嫌いな人は嫌うだろうが
個人的には面白く見た。
ベアを作るときの瑠璃子の表情や仕草が
作家としての表情ともとれるし
得体の知れない、何を考えているのかわからない態度ともとれるし
秀逸だと感じた。
会社の机にも嫉妬するっていう瑠璃子さんの気持ちは、私はわかるけどな。
傍から見た瑠璃子と聡が確かに仲よさげで、
少し歪なところはあってもそれは違う人間同士だから当たり前で。
嘘を吐いていてもお互い様で、
結局はこれでお互いが納得しているのなら
幸せの一つの形なのかもしれないとも思う。