大泉さんが好きなのと、洞爺湖畔が好きなので見てみた。
けして悪くはないが、中身が薄い感じがした。

Sponsored Links

失恋した東京者、母が出て行った父と娘、死に場所を探しに来た老夫婦と、教科書のようなほら可哀想でしょう、感情移入してくれていいんだよ、とばかりのゲストたちに
私はかえって冷めてしまった。

わざとなのか、水縞夫妻のエピソードが上記の客たちの表面をなぞるようなエピソード以上にいまひとつ掘り下げられない。
なぜか妻から君付けで呼ばれる大泉さん演じる水縞君。優しくて穏やかで、
淡々としていて家事もしっかりやるし、頼りがいもある。
女性の妄想のつまった旦那さん像。

妄想と言えば、この物語自体がそう言える。
北海道であれば自然は厳しくとも人があったかくて悩みも溶けていく。

香織が時生に絡んでいるときに、生まれも育ちも東京の癖に何を言うか
と思ったのだが時生がいまいちきちんと反論しないのも
その辺りの脚本の意図があるからなのかなと感じた。

ネタバレあり。

陽子さんは良いキャラなのに生かされておらず、いつもある客が持っているトランクにしても中途半端。
実はアコーディオンでしたというのが特に驚きも次に繋がることでもない。

物語が上っ面で、正直突っ込みどころはたくさんある。

香織は迷惑な女で、ちっとも良さがわからない。
気持ちを変える為に住んだことのない場所に引っ越すのは勝手だが、この町ならなにもない平和、住んでいる人は気楽とでも言うような言い草はかなり失礼だ。
どうせ1人旅なら予定通り沖縄に行けば良いのに、何故北海道なのか。

バイクでガス欠というのもかなり不自然。

時生が乗っていたバイクが自分には種類がわからなかったが
エンジンオイルランプもなければリザーブタンクもないのはおかしい。

原付なら兎も角、中型以上のバイクを押して歩くのはそれなりに苦行なのだが、

時生は押して歩くし香織は手伝う素振りも見せない。
基本的に自分勝手である。

時生が見送りに来るのは予想できたが、送っていくと半ヘルを差し出し
香織がスーツケースをがらがら引張りながらタンデムし始めたのには唖然。
次のシーンでは後ろに積まれていたものの、東京まで送って行くと言い出している訳で、

時生の北海道での仕事は、家族は?
一目惚れでもう付き合って香織の家に転がり込むのか?
という疑問もあるし、バイクで北海道から東京まで行くには
それなりの装備をしないと危なすぎる。
香織の休暇中に東京に辿り着けるかも謎である。

ひとつめの香織のエピソードで既にこんな感じで、
リアリティのある素朴な物語というよりも
漫画ちっくなコメディ的な描写が目立つ。
これが気になってしまう人には、現実に引き戻されて感情移入できないと思う。
平気な人は十分雰囲気を楽しんで感動もできるかもしれない。

老夫婦が尚がわざわざ米を手に入れて作った料理を食べずに
置いてあるパンを勝手に食べだすのに違和感。
ダンスシーンも自分は置いてけぼり感があった。

開店2周年でお客さんにパンを送っているのだが、大きめの箱にぽつんとパンを2個だけ入れたり
衛生面でも輸送面でも気になってしまう。
しかも郵便配達員が郵パックを山盛りにして預り。
普通郵便と郵パックは部署が別だし、郵便屋さんに渡すなら定形外郵便なんだろうけど
食品で多分手作りだから添加物も入っていないパン、
保存用にしっかり焼き締めてあるわけでもなさそうなパンを速達でも宅配でもなく
普通郵便??
コメディなのかな? と荷台に山盛りにされた光景でやっと気がついた。

全体的に、本州人が憧れる北海道を表面だけなぞっている。

パンカフェ「マーニ」 は一体どうやって経営が成り立っているのかも疑問。
水縞夫妻は夫妻っぽさもないし、夫妻である必然性もない設定だったと思う。
最後に尚が私のマーニとりえが気付くというのもちょっと安っぽい演出だった。

大泉さんは良い演技ではあったけれど、尚がちょっと無個性というか役不足にも思う。
それと、大泉さんがいつもエプロンをしていて、洗濯していてもパンを作っていてもエプロンで、自分の服が汚れない為であってお客様にことは考えていないのかなと思った。
マスクもしないでしゃべりながらパンを作っているし。

かもめ食堂的なものを期待して見る人が多いと思うが、そうした人には多分期待はずれになると思う。
少なくとも自分はそうだった。
この映画自体が、女性の理想が詰まったコメディファンタジーなのだ。

折角月浦を舞台にしてる割に月浦の良さがなく、
湖が時々うつる程度で虻田の魅力じゃないというのも残念だった。

好きな場所で好きな人と好きな暮らしがしたいという尚の言葉は
本当はみんなそうだし、そうあるべきだとも思った。
実行するのがいまいち難しいのだが。

Sponsored Links