薄桜鬼 DVD-SET

薄桜鬼 DVD-SET
ヤマサキオサム (監督), 桑島法子 (出演), 三木眞一郎 (出演) 形式: DVD

食わず嫌いは良くないかと思い見てみた。
如何にも乙女ゲーらしい展開である。飽く迄も史実の人の名前を使った同人創作。

1話「雪華の都」

千鶴がどう見ても女で、夜中に一瞬なら兎も角あれだけ縛ったり会話したりと接点が出てからでも男だと思えるのは無理がある設定。
少女漫画だから紅一点新選組に女を入れるがきっちり男装させる為に月代を剃らせた『風光る』ぐらいの何がしかの説得力が欲しかったと思う。

殺されかけておいて一緒に飯を食ってしまう千鶴があまりに脳天気。良い人たちなのかも、と思う理由も不明でストックホルム症候群を疑ってしまう。

山南をさんなんと呼んだり、大坂をおおざかと呼ぶのは良いと思う。

2話「動乱の火蓋」

千鶴を副長がいない間に部屋から連れ出すにしても馴染むのが早過ぎる気がする。半月は経っている設定のようだが。
隊士が基本的には試衛館メンバーしか出てこない様子だが、平然と幹部に混じっている千鶴が面白すぎる。自分を軟禁している人たちと一緒に飯を食いたくなるものだろうか。

医者の娘で剣士が左腕を怪我して刀が握れないと聞いて、もう少し察してもよかろうと思う。
「山南さんのこと心配じゃないんでしょうか」と何故千鶴がそんなことを思ったのか自分には理解できなく唐突に感じた。
女だてらに道場に通っていたというのもどうかと。新選組の名前も知らないのか、試合に自信満々で挑むのも不思議。
巡察に同行させる理由として納得出来るほどの剣の腕前なら、斬りかかられたら抜刀くらいして欲しい。

まさか桝屋だと思わず展開に吃驚。探索先も丹虎か池田屋の2択という話の早さ。
何があるかわからないのにまともに剣も扱えない小娘が何故か伝令に。敵は池田屋だと土方でなく山南に知らせに来るのもご都合展開だ。人が足りないからこそまともな人間を走らせるべき。

折角の暗闇でお喋りをして居場所を知らせた上で斬りかかり、素手の男に殴られて鉢金が割れる(陶器製なのだろうか)とは、平助が恰好悪すぎて悲しくなる。

役所の人間が来るまで中に入らない土方も謎。
史実通りでないと言っているとは言え、会津藩と全く連携が取れていないどころか敵同士のような描写。
土方が不遜な口の利き方をし、伝令を立てたはずが折角来てくれた人たちを1人で邪魔扱い。

怪我人どころか斬り合い真っ最中の池田屋にほいほい入っていく千鶴。
沖田が血を吐いたというのを聞いて、あぁそっち系かとがっかりしてしまった。史実通りでないどころか、過去の創作の設定をそのまま持ってきた二次創作である。
白刃を向けられているのに「駄目です」と沖田を止める千鶴の無神経さが凄すぎる。

3話「宵闇に咲く華」

身長設定が千鶴が155cmだそうで、新選組メンバーは170cm超が殆どという現代設定。
平隊士には男であり部屋に引きこもらせておく設定だったかと思ったが、平隊士の目の前で幹部から特別扱いをされ千鶴を呼ばれている。
沖田が結局なんで倒れたのかは明らかにされなかった。

4話「闇より来る者」

戦仕度が鉢金だけなのは何故なのだろう。
千鶴に至っては何もつけていない軽装。

組織というのは統率を乱すものがあってはならない。それを嫌というほどわかっていて良いはずの副長土方が、九条河原での待機の命を破り会津の待機兵にも命令違反を教唆する。

井上さんが随分年嵩な描写をされているのも気になる。

会薩で組もうというときなのに、会津と薩摩がいざこざしており、新選組だけがクールで恰好良い。

5話「相克せし刃」

尊皇攘夷=長州⇔新選組と敵対という史実からみると誤った設定。この設定は悲しい。
新選組の存在意義や如何に近藤局長が隊務に向き合っていたかということが描かれないどころか誤解を受けるような描写は寂しいと思う。

腕が動かず居場所がなくなり思いつめて薬に手を出すという山南の行動には納得。理由として十分追い詰められただろうと感じる。

6話「鬼の命脈」

山南さんが理由不明で脱走し切腹処分を受ける史実ともう少し絡めるのかと思ったが、単に薬を飲んだが克服でき、外部には死んだ設定にしよう、というのみだったので残念。

伊東先生のキャラ設定が馴染めない。

7話「桎梏の運命」

浪士に思わず声をかけて怒鳴られると怯み斎藤さんに助けてもらうというのは、勇気ではなく蛮勇ではないだろうか。

名前も変えず男装しているつもりだったらしいのが意外。

史実では近藤さんが思い悩んでいた新選組のあり方を平助という今後袂を分かつ平隊士から言わせるのは残念だった。

頻繁に侵入されるがすぐにタイミング良く気づいて仲間が駆けつける矛盾もゲームならではの展開なのかなと思った。

8話「あさきゆめみし」

局長と永倉・佐野の対立のエピソードをこういった形で入れているのだろうか。

千鶴の女装させてみたり、いまいち彼女の隊内での扱いがわからない。

9話「修羅の轍」

あれだけのことがあれば、わざわざ道場を畳んで来た伊東が脱退したいというのは当たり前だが、随分と急。
斎藤と平助がそれについていくというのも理由がよくわからない。
結局勤皇VS佐幕という設定にしてしまっているようで非常に残念なところ。

話が唐突に展開したような印象。
実力も無いのに戦闘の場所へ度々行こうとする千鶴が理解できない。

10話「絆のゆくえ」

千鶴が医者の娘だからと言って医術に明るいとも限らない訳で
医術に詳しいと言った描写や設定が活かされないままなので
山崎の頼みは突然だと思う。

平助を殺さないでくれたことは嬉しい。
斎藤が随分強すぎる気がする。左之助と永倉が噛ませ犬設定なのか。

11話「零れ落ちるもの」

労咳を病んでいた沖田が薬を飲むにしてもちょっとタイミングが早い気がした。
そも池田屋で発症していればここまで持つことも考えられないし、薬を飲むにしてももう少し我慢しないものかと思ったが
その辺りは大好きな近藤さんがやられたから、ということなのだろう。

12話(最終回)「剣戟の彼方」

もう刀や槍で戦えないという名言をここで使ってしまうのは勿体無い。
何かしたいといつでもしゃしゃり出る千鶴が凄い。実力もないのに気持ちだけで言い出しては誰かを巻き込んでいる。
井上さんに見せ場を作ってくれるのは嬉しいが、千鶴を庇って無謀な戦いを挑んで、というのは悲しいし、そこまでしてもらっていつまでも逃げようとしない千鶴はどうなのか。井上が犬死である。

土方ともあろう人が、安い挑発に乗ってとんでもないことをするなと思った。
水葬してしまうのも過去の創作引用だなと思ったし、正直これでは山崎も本当に犬死だ。

二期前提の脚本なのか、最終話っぽくないあまりまとまっていないラストだった。

史実通りにやれとは思わないし面白ければ良いと思っているのだが
史実を弄るからにはそれ相応の理由があって欲しいと思う。
謂わば史実は原作でありそれを創作化するのに原作改竄はやはりどうなのかなと思ってしまう。
銀魂のように名前をもじり設定を借りつつもオリジナルキャラとして昇華してギャグをさせるのは良いのが
この作品は史実の借り方も浅くキャラの行動の理由付けも甘くいまいち感情移入ができなかった。