【読了】一刀斎夢録 上 (文春文庫)

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永倉と違い黙して語らずであった斎藤一。
彼をしてここまでべらべらと、さして信用がおけるかもわからぬ人間に
酒を持って尋ねられると話してしまうというのが
いくらフィクションとは言え冒涜とすら言えるのではないかと感じる。

フィクションであると言っても史実の人物の名前を出して書くのならば
ある程度の整合性もとってほしいと個人的には思うので
龍馬暗殺が斉藤であるというのはまだしも
武士社会において左利きであろうとありえない右差しの刀
下げ緒の使い方が間違えている、人斬りが大好き、
といった描写は不快に感じた。

会津の旗についての描写も疑問に感じたし、
土方が洋装断髪した時期は会津に行ってからでもない。

架空の隊士として書かれていたらまだ読めたと思う。
ただそれでも冗長に感じる。
現在のパートはそれなりに面白く読んだ。

2014.12.28