伊坂先生の小説に出てくる悪人は、本当にどうしようもない悪人で話が全く通じないことが多いですが、
この繭美は、主人公を現在の生活から引き離す監視人なので
少なくとも主人公から見れば悪人のポジションですし
非常にインパクトのある毒舌キャラでけして良い人とは言えないのに
なぜか色っぽいとか可愛いとか思えるときがあり
憎めないユニークなキャラクターです。
この繭美は、主人公を現在の生活から引き離す監視人なので
少なくとも主人公から見れば悪人のポジションですし
非常にインパクトのある毒舌キャラでけして良い人とは言えないのに
なぜか色っぽいとか可愛いとか思えるときがあり
憎めないユニークなキャラクターです。
ユニークと言えば、ポストに小説が届くというこのお話が出来上がった
きかっけの企画も非常にユニーク。
朝ポストに、こんな短編が入っていたらわくわくします。
借金のせいで得体の知れない組織にどこかへ連れて行かれる、
カイジみたいなひどいストーリーの前置きみたいな物語なのに、
どこかくすっとなってしまうような、暗くならずにさくさく読めるストーリーです。
あのバスがなんなのかわからない、ラストがよくわからない
という感想も見かけました。
リドル・ストーリーは、特に最近では賛否両論になりやすいですが
バスがなんなのかというのは重要な問題ではなく、
星野が連れて行かれ無事では戻ってこられない、ということさえわかれば良く、
自分としてはとても前向きな、可能性に満ちたラストに思えました。
五股もするような最低男のはずなのになんだかいい人で、
これから酷いことが待ち受けているといくら繭美に脅されても
覚悟を決めている、とは言えないけれどひょうひょうとしていて、
繭美の性格も理解して認める星野一彦も、なかなかどうして良いキャラです。
実写化するなら繭美はマツコ・デラックスさん、という感想に共感します。
確かに毒舌なのに憎めなくていい人な感じ、マツコさんならきっと嫌味なくやってくれそうです。
実写化するなら、ラストはエンジンがかかって颯爽とバイクをスタートさせる後ろ姿がいいな、と思います。
エンジンがかかったからって、エンストするかもしれない。
バスに追いつけるかわからない。
追いつけた所で助けるのは難しい。
そんなものを内包しつつも、でももしかしたら、と希望を抱いて見送りたいです。