原作未読。
心平だけさゆりの声が聞こえるというのが
唇の動きの相性とかそういった現実的なものかと思っていたら
どうも単なるファンタジーらしい。
心平は魚とも話が出来てしまうようだ。
そういった話だと早期に悟って切り替えて見る分には良いと思う。
ただ、どんな描写も中途半端に感じた。
成人になってから突然手話が出てくるが、生まれつきなのか中途失聴者なのかにもよるが
それにしても小学生になってまだ手話を何も学んでいないのか?
大人のさゆりは特に無表情でああと言いながら手を動かすだけで
これでは手話についての誤解を広げるだろうなと思ってしまった。
手話はそれだけで会話するものではなく、表情も重要だし、
なんなら声も添えるものである。
声は出せるのに話せるように訓練もしなかったのか、
無理だったのかその辺り謎。
心平は子供の頃は元気な田舎の子供な感じだが、大人になると人が変わったようで
いくら母親を亡くしたとは言えもっと強く生きていけるタイプかと思いきや
仕事中に絵を書いてミスをする、ろくに他者と話せないなど
ちょっといくらなんでも駄目な大人。
見ていてしばしば、あまりに心平が静かなので耳が聞こえないからかなと混同してしまったほど。
舞台が北海道なのも、全く活かせていないなと思った。
「本州人が見た北海道」「本州人が思う北海道人から見た東京」
しか書かれておらず、いくら北海道が田舎だとしても時代錯誤だろうという設定も多い。
これが昭和初期設定ならまだ見られた内容だと思う。
心平を託されて高倉が面倒を見てくれるのも弱いし、
跡取りが必要で婿を取る為に娘が好きな男を遠ざけるのも
英蔵の設定も随分と古い設定で、
あそこまで立ちまわってもう披露宴の準備もあそこまで済んでいるのに
突然駆け落ち。
しかも筏で、というのは失笑。
良い大人がやることではない。
蔵はどうなるのか。英蔵が養子にでもなって継ぐのだろうか。
それにしても、子供の入賞を大人たちだけで集まって宴会をして祝うような田舎町で
結婚式当日に一人娘が駆け落ちしていなくなりましたなんて事態に陥って
この先やっていけるのか。
純愛を描きたいのはわかるのだが、この時代に、しかも現代設定で
卒業なのか韓国ドラマなのか、という話運びは随分と幼稚で説得力がない。
原作がこうなのか脚本の問題なのかはよくわからないが
割り切って見るべき映画。
幼少時の心平と母親の描写は良かった。
それにしても本州人の憧れで描いた北海道生活過ぎたが。
割り切って見られる人、役者さんのファンの人、
チープでも純愛映画が好きな人には普通におすすめできると思う。
ネットのレビューでも、綾瀬さんファンの方が多いように見受けられたし
可憐な美少女な綾瀬さんが見られるのは良いのでは。
自分は純愛にしても説得力を出すためにある程度しっかり現実面を描いて欲しい
と思う人間なので、脚本も演出もちょっとひどかったなと思った。
2014.7.13