【読了】炎の蜃気楼(ミラージュ)〈38〉阿修羅の前髪 (コバルト文庫)

勝ち取るために戦うこと、踏みにじられないために戦うこと、
虐げられないために戦うこと
高耶の言葉は、
守られたり平和ボケしたりしている現代日本人にとって
耳が痛いし、とても大切だと思った。

高耶の言う「生きる資格のない人間などどこにもいない」という言葉を一度は肯定しつつ
「だが生きていても意味のない人間はいる。
己の人生に意味が見出せない、生きていても意味がない。
そんな理由で自殺を選ぶような輩は
生きたくても生きられない人間にその命を譲ってやるほうがいい」
という

信長の目指す世界、言う言葉も、全くの間違いには聞こえないのだ。

だがこれに対する高耶の回答がまた頷ける。
「生存本能とは肉体に宿るものでは無く精神に宿るものだ。
魂は誰もみんな生きる意志を持って生まれてくる。
ただどんな環境に生きるかで、不幸にも削られていくものもいる。
生きる意志がないんじゃない。生きたくても生きられないこともある。
摩滅させられてしまう」
だからこそ誰にも助けの手を差し伸べる。

レビューで、信長は直江のいない高耶かもしれないという言葉を見て
確かにそうかもしれないと思った。

2015.8.8