【読了】炎の蜃気楼(ミラージュ)〈39〉神鳴りの戦場 (コバルト文庫)

怨霊を減らすには不幸な死を減らすこと
p.26譲
p.26独眼竜!

これだけ大騒ぎになって、現代人が事態を無視するというのも
現状維持バイアスだけでは説明のつかないところで、
日光あたりから徐々に一般人との関わりも描かれてきたが
それがここにきて大きな意味を持つようになってきた。

怨霊を減らすには不幸な死を減らすこと。

この言葉にははっとさせられた。
幽霊の存在について知人と話した時、いるかいないかというよりも
酷い殺され方をした人が化けて出るくらい出来なかったら
可笑しいという言葉を聞いて確かに、と思ったことがある。
そうして恨みを抱いてこの世に残った霊を無理矢理調伏するのではなく、
そもそもそうした死を減らすこと。
なくす、ではなく減らすという言葉にも、リアリティを感じた。
残念ながらなくすことは難しいだろう。
だが、少しでも減らすこと。そうすれば、怨霊の数も少しは減るかもしれない。

「もっと早く信じることができていたなら<裏四国>なんて生まずに済んだのかもしれない」
という言葉が響いた。

譲の人格が残っているのかはっきりしない描写の中で
すっと、一緒に戦えなかったことが辛かったという譲の言葉が出てきて
ぐっときた。
高耶の足を引っ張らない為には、力の無い自分は
平和に平凡に日々を送っていると見せることしかないと思っていた譲。
力があれば、共に戦えると思っていた譲。
その気持ちが苦しく、痛かった。
親友同志である高耶と譲が見られてほっとした。
ふたりが共闘出来て、良かったと思う。

共闘と言えば、千秋が「チーム夜叉衆」と嘯くところも良かった。

しかし独眼『竜』にはちょっと驚かされた。
氏康公の特権かと思っていたが。(笑)

2015.8.10