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上橋先生の物語の中では比較的短く読みやすいだろう。
アジアンテイストのファンタジーとよく言われるが
これは中でもごく日本に近い、日本のいつかわからないが
昔、という原風景に近い舞台設定で読みやすく
だからこそ切なく胸に染み入るように入ってくる物語だ。

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野火の、叶わぬと知っての、恋という自覚もない恋、
初めて使い魔として人を殺めて、食うためではなくただ殺したことに震え
死ぬかもしれないと思ったときに助けてくれた小夜の温かい存在
自分の命よりも小夜を守りたいという気持ち
切なく読んでいて胸が痛くなる。

だからこそ、全てが解決した訳ではなくとも
温かい方へ向かって事態が動き出し
思わず微笑むような描写のある結末が心底ほっとする。
恨みの果てに、狐笛の向こうに、優しい未来があったことに安堵できる
素敵な物語だ。

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