【読了】ふたりのイーダ (講談社青い鳥文庫 6-6)

な作家さんがおすすめの童話として紹介しておられ、
読んだことがなかったので読んでみました。
子供の時に読んでいたら衝撃を受けたのではないかと思いますが
今大人になってから出会ったのにはそれなりの良さもあり
良いタイミングだったかもしれません。

動いて話す椅子と少年が出会うというファンタジーでありながら
物語は日本の近代の歴史に切り込むちょっとしたミステリーであり
史実でもあるというストーリーが素晴らしいです。

大人である自分の視点だと、母親と妹はちょっと身勝手に感じるのですが
直樹がそんな環境で親に振り回されつつも妹の面倒を見て
出会ったおねえさんにも失礼を働かないようにと幼いながら気を遣い
健気だなと思いました。
そしてさらに、ほんにんとしては「キノウ」か「キノウノキノウ」としか認識していないとしても、
ずっとずっとひとりでイーダちゃんを待ち続けた椅子もとても健気で切ないです。
椅子がいつか、自分の覚えているイーダちゃんはもう戻ってこないけれどこの人はイーダちゃんだと認識してくれる日がきたなら良いのですが。
せめて、りつ子の言っているような”イーダちゃんが戻ってくる日”が訪れることを願わずにはいられません。