遊園地に行こう! 単行本(ソフトカバー) – 2016/6/8
真保 裕一 (著)

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明日も仕事に行くための、勇気と熱狂ここにあります! 感動を巻き起こせ! 『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』に続く累計25万部突破の「行こう!」シリーズ、待望の第3弾。奇跡の復活をとげた遊園地ファンタシア・パーク。夢を抱けない僕たちの前に、魔女が現れた――。真保裕一・作家生活25周年記念作品。読めば元気が出てくる痛快お仕事ミステリー!

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「行こう!」シリーズである『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』は読了済です。
それに比べると、ミステリ部分も人情的な部分もいまいちに感じてしまい残念です。

遊園地が舞台ですが、読んでいる分には日本の各地にある遊園地がリニューアルして云々、というよりも
キャスト達の慰労のために社員たちがキャストをしてアルバイトのキャトたちを招くこと
定期的に大規模な面接会があること
配置先に本人の希望があまり通らないこと
カストーディアルキャストそのままのパルの存在などなど
どうしてもディズニーランドのシステムを連想してしまいます。
その割にはディズニーランドが比較対象として文章内に出てきてしまうのが余計に良くない気がしました。

ファンタシア・パークのリニューアルの立役者にしろ『魔女』にしろ、自分としては人としての魅力を感じられず、
そんなに持ち上げられる理由がいまいち共感できませんでした。
OLCでも、アルバイトを安い時給で使う、ディズニーおたくだから大丈夫、というような論調を聞くことがありますが、ファンタシア・パークも結局は”パル”たちが先輩たちに洗脳されているだけのように見えてしまいます。
『自発的な掃除』や休憩が30分しかないというのは普通にブラックでしょう。
「うちで一人前になれたらどんな企業でも立派に通用する。私たちは人を育てている」
この言い草がもうブラック企業です。
これはお客様は神様と同じで、育てている側が「育ててやっている」と言い出してはいけないことだと思います。
『社員扱いとなるので保険のほかに有給休暇や福利厚生の受給資格もつく』のあたりも、アルバイトにはつけてないんですか? と思ってしまいました。

ディズニーにも負けないマインドを描写している割には、エルシーの中に入っていると家族や友達に言ってしまうところも、ファンタシア・パークがOLCと対等に渡り合える遊園地のようには思えません。

遙奈の章はそれなりに面白かったのですが
脇役として出てきたときにちょっと性格が変わってしまっているような印象を受けました。
すっかりファンタシア・パークに洗脳されているせいもあるのでしょうか。
分電盤に関して「明日には復旧しますよね」と何度も念を押すところも、必死であるという描写なのはわかるのですが
人身事故で電車が止まったからといって「いつ復旧するのか」と駅員を問い詰めている人と同じような印象です。
「記者をとっちめる」というのも、そんなに記者は悪者でしょうか? 記者はそういうお仕事ですし、取材目的を偽っていたとしてもそんなにみんなで”とっちめる”権限があるようには思えません。分電盤の事故等に関してもさして証拠もない段階ですし、どちらかというと魔女の方が法律上倫理上問題があります。

そして肝心のミステリ部分も、
真保先生は後半の怒涛の展開が楽しい読み味ですが
怒涛というよりあまりにも唐突な種明かしでしたし
いつものどんでん返しも無く、少しがっかりでした。

他の2編の行こうシリーズの方が面白いと思います。

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