武蔵がここまで来たのは、伝七郎が一年という時間を武蔵に与えたから。
でも、一年という時間を経た武蔵にとって、伝七郎は「分かり合えない」存在になってしまった。
非常に辛いです。
道場主として、一浪人を相手に命を賭すことが正しいこととは言えないかもしれませんが
それでも伝七郎は彼なりの筋を通しました。

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違う意味で辛いのが、又八との再会。
武蔵を置いて逃げたことを謝りもせず、
結局は下品なことを言って武蔵に殴られてしまう又八。
友達を無くしてしまったと後悔しても、
謝罪の気持ちを武蔵に伝えないのでは意味がありません。

折角再会したと思った友人に酷いことを言われ、
思わず手を出してしまい、傷ついているのは武蔵の方。

昨夜の前が見ていたのは俺じゃない。
会わない数年の間にお前の頭の中にこしらえた俺。
お前の頭の中の俺。
お前の頭の中の物語。
その物語こそがお前自身の姿を映している。

友達だったはずの又八が本当の自分を見てくれていないことは
きっと辛いことだと思うのです。
又八にしてみれば、「とうとうやり遂げた」友人が
誇らしくまた羨ましくもあり、
自分が欲するその立場にいて平然としており
より高みを目指す武蔵に怒りすら覚えたであろうことは
想像できます。
それでもやはり、自分が破談にした元許嫁であり
幼馴染であり、武蔵が心憎からず思っている相手であるおつうを
汚すような発言は人として許せません。

「優しくなったな、武蔵。強くなったんだな」
という沢庵の言葉は沁みました。
吉岡一門が自分を殺そうと狙っていることを知り、戦うつもりはない、山越えをすると告げる武蔵。
大人になったかと思いきや。
「七十人だぞ!行くのか!?」
「馬鹿か俺は!!」
という自問自答というか自分へのつっこみはかなり好きでした。
わかっているはずなのに違うことを行動してしまうこと、
人間には時としてあると思います。

吉岡一門としては、吉岡兄弟を殺されてはもう後には引けません。
武蔵としては、一年前の約束を果たしただけです。
どちらからしても、どうにもならない仕方の無い流れなのです。

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