【読了】逃げるは恥だが役に立つ(9)特装版 (プレミアムKC Kiss)

待ちに待った最終巻。

百合ちゃんとみくりの関係は本当に素敵で、とても羨ましいです。
本当に、こんな感じで一生暮らせるのなら居心地が良さそう。

みくりは青空市を職務ではないにしろ経歴として
まとめてアピールするところが偉いし面白いです。
そこをサービス精神がある、として買ってくれる会社も素敵だなと思います。

ポジモンは個人的にはどうしても好きになれなくて、
うざいという感想しか今までなかったのですが、
百合ちゃんに直接戦いを挑むところがかなり非常識で
本当に嫌な人だなと思ってしまいました。
風見さんは憎みきれないと言っているけれど心が広いなと思っちゃいます。
いきなりランチに誘われて、しかも同僚とのランチに割り込まれた状況で、
2人でランチに行ける百合ちゃんは本当に恰好いい。
こんな局面でランチに誘うのも誘われるのも
それぞれ自信がないとできないことだけれど、
五十嵐杏奈の自信は身勝手に感じます。
それに引き換え百合ちゃんは正々堂々としていて惹かれますね。
ドラマでもポジモン撃退シーンは素敵なものに仕上がっていましたが、
漫画でもやはり印象的でした。
年齢に拘り若さを武器にしようとする姿を、
呪いと表現するところがすごかったし、
あんなに失礼なことをたくさん言われても相手を慮り
アドバイスをあげられる百合ちゃんは
本当にちゃんと大人だなと思うし、
「大好きよ あなたもそうなんでしょ?」と
笑顔で言える強さに美しさを感じました。

CEOの会議シーンも色々と面白く。
掃除の質の低下が気になるという平匡さん。
でも多分大抵の主婦は普段の掃除にそこまでの質は求めない気がします。
今まで家政婦さんを雇っていて自分では掃除してこなかった
男性ならではな感性のように思いました。
でも平匡さんの良いところは、
みくりちゃんの話にきちんと耳を傾けるところ。
相手の意見をきちんと受け止めて
今後の対策に練り込んでくれるのが良いです。
確かにみくりの言うように分担というのは
平等に見えてやっかいなもので、
やっていないと腹が立つし自分のところだけやれば
人の分担はやらなくていいと思ってしまうもの。
掃除や食事がマストではなく、今日は余裕があるから食事作る、
作るから食べるなら2人分作るよ、程度なら、
肩肘張らずに済んで楽だなと思いました。

生活費を平匡さんに多く出してもらっても、
その分家事分担はみくりちゃんが多いから当たり前に思ってしまう
というのもそれはそうだろうなと思うし、
感謝の気持ちを行動で伝えるのは本当に大事。
ありがとうと言うのがまず大前提だけれど、
それだけでは自分の負担ばかり大きいと感じて
いつの間にかストレスが溜まってしまうものですよね。
自分1人だったらしなくていい仕事をするのは、
余裕があるときにはなんでもなくても、
自分がしんどいときだと本当に腹立たしいものです。
必要なのは感謝と好意という結論に行き着くところが2人らしい。

生活時間が違う共同生活はなかなか大変だけれど、
こうやって割り切って都度問題を解決していけるなら
うまくやっていけそうです。

確かに何事もタイミングは大事で、
同じ言動でもタイミング次第で相手の感じ方が
がらっと変わることもあります。
ポジモンから話を聞いて謝ろうとした風見さん、
そして最後の告白を今一度する姿に誠実さと情熱を感じました。
進撃の巨人パロディのコマには笑ってしまいましたが。

やっさんはあんまり大好きなキャラではなく、
余計なお世話という言葉はずっとひっかかっていました。
でもこうして後から感謝したり謝罪したりできるからいい人だし、
みくりと友達でいられるんだなと思います。

他人同士はOSが違うという言葉は、確かにわかりやすいです。
普段みくりちゃんが愚痴を言い百合ちゃんがそれを聞くことが
多いような気がする中、百合ちゃんの相談というか不安というか、
内心の吐露をみくりちゃんが聞くのは新鮮だし微笑ましかったです。
年齢関係なく怖くて当たり前という言葉が優しく感じます。
大人の女性がああしたやり取りのあとでうちに泊まりにおいで、
という台詞を言うには緊張するし、覚悟がいるでしょう。
みんなが結婚するようになったのは近代の話というのは
確かに言われてみればそのとおりで、結婚しないのがおかしい、
特殊というのは変な話ですね。
昨今は少しはそうした偏見は緩和されているようには思いますが、
少子化は独身者だけのせいじゃないのあたり、とても共感しました。

大人だからって弱音を吐いてもいいし相談してもいいのに、
と思っていたので、百合ちゃんが風見さんに打ち明けて、
ベッドが戦わなくていい安らぎの場所になったことがとても嬉しく思います。
風見さんと百合ちゃんがこれからどうなっていくのかはわからないけれど、
それは年齢に関係なく未来はわからないもので。
みんながそれぞれの立場で自分らしくこれからもあれるといいなと思うし、
きっとそうだろうと思えるラストでとても良かったです。

2017.3.13