スナックちどり [単行本] 感想

スナックちどり 単行本 – 2013/9/27
よしもと ばなな (著)

それは人生のエアポケットのような、不思議な5日間だった――。40歳を目前にして離婚した「私」は、幼なじみで従妹のちどりと偶然同時期にヨーロッパに滞在し、一緒にイギリスの西端の田舎町・ペンザンスに小旅行に出かけることになった。ちどりもまた、心に空洞を抱えていた。幼い頃に両親が離婚した後、親代わりに育ててくれた祖父母を相次いで亡くし、ひとりぼっちになってしまったのだ。さびれた海辺の町で、二人は昔話にふけり、互いの人生を振り返る。とりわけ思い出されるのは、ちどりの祖父母が経営していた、「スナックみどり」の光景だった。常連たちがまるで家族のように寛いだ時間を過ごし、またそれぞれの仕事に帰っていく。そこにはささやかだけれど、しっかりとした幸福感が満ちていた。そんな思い出を確かめ合いながら、二人は少しづつ寂しさを埋めていく。そして3日目の夜、二人の間にある「事件」が起きる……。
限りなく繊細な表現で、人が人に寄り添うとはどのような事かを問いかける傑作小説。あなたもきっと「居場所」が見つかります。

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変わったタイトルだと思ったが、読み終えた後の
納得と温かい気持ちがとても良かった。

閉塞感、気怠さ、何もないまとわりつくような静かな孤独
旅先の風景と相俟ってとても良かった。
多少人物設定や展開に奇抜なところがあり
苦手に思う人もいるかもしれないが、
レストランで出会ったおばあさんとの会話のシーンやタイのレストランなど
偶然で必然の人との出会い、二度と会わないだろう人
それでも印象深く残る出会いの描き方などとても好き。

疲れて一人で不安を抱いていて、
周りからもなんやかやと言われるような状況などがリアルで
とても心に響いた。