著者 : 又吉直樹
文藝春秋
発売日 : 2015-03-11
なにか激しい衝撃を受けるとか、途方もない感動に涙にくれるとかそういった派手さではなく
淡々とじんわりと滲みてくるような小説です。
多少の物足りなさを感じなくもないのですが、純文学というくくりと考えればこれで正解なのかなと思います。

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レビューでは読みにくい、理屈っぽい文体という感想がいくつか見られましたが
自分はそのような印象は受けず、すんなりと読めました。
引っかかったのは、浴衣なのに草履なの? ということぐらいでしょうか。
良い意味で『普通』に読める小説だと思います。

主人公ほど先輩に憧れの念が持てなかったので
いまいち共感しきれないところもありましたが
小説の世界の全体的な雰囲気、切ないような物悲しいような
それでいて温かい感じが好きでした。
冒頭とラストの終わり方がとても好きでしたし、
あえての火花としたタイトルが素敵だなと感じます。

売れない時代に、芸を披露しても誰も聞いてくれないという局面で
歌舞伎や能の起源は神に捧げられる行事であったと聞いたことがある。確かに誰にも届かない小さな声で、聞く耳を持つ者すらいない時、僕達は誰に対して漫才をするのだろう。現代の芸能は一体誰のために披露されるものなのだろう。
と考えるところや、
最後のライブにたくさんのお客さんが駆けつけてくれたことに対して
誰かには届いていたのだ。少なくとも誰かにとって、僕達は漫才師だったのだ。
と思うところにじんときました。

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