進撃の巨人(6) ネタバレあり感想

進撃の巨人(6) (講談社コミックス)
諫山創

女型巨人がフードを摘んで顔を確認するのは鳥肌が立つ。
巨人を率いてきたという知能の高さも恐ろしい。

アルミンの観察眼は本当に素晴らしい。
自分ならこの最早極限状態で、そこまで冷静に見極められない。
女型が探しているのはエレンだというアルミン。
撤退の時間を稼ごうというジャンが凄い。
友の死を知ったジャンの成長が目覚ましい。
力を貸せと言うジャン。フードを深く被ろうと提案するアルミン。
確かに気休めにしては上出来である。
機転を利かせて「ジャン‼︎ 仇をとってくれ‼︎」と叫び
巨人を動揺させるところも凄かった。
クリスタの女神ぶりが唯一の癒やしだ。

女型巨人は知能があるだけに、兵士たちへの攻撃も
ワイヤー持ったり踏み潰したりとえげつない。
背後でそうやって仲間が死んでいくのを見ているしかない
というのは辛すぎる。
巨人になろうとするエレンに、
「巨人になるのは命が良くなったときだけと約束した」
と語りかける仲間たち。
ここに来るまでの間に、彼らの中でも色々なことがあって
信頼が育ちつつあった。
エレンが巨人になるには、自傷行為だけでなく
目的意識も必要だということも実験で判明していた。

そこにリヴァイが投げかける、
「 エレン お前は間違ってない やりたきゃやれ」
という言葉も凄い。
無責任な訳ではなく、自分も今まで
何を信じたらいいのかずっとわからなかったから出る
「せいぜい悔いが残らない方を自分で選べ」という言葉。

信じること、正しい行動を選ぶこと。
それはとても難しい。
そして正しい行動を選べると思えるアルミンを
エレンたちが尊敬する意味もとてもよくわかる。

やはりこんな事態に巻き込まれたエレンが
新しい信頼、心の拠り所を欲していて、
化け物扱いも仲間外れももう嫌だと思っていたというのが
気の毒に感じてしまうモノローグだった。

多くの犠牲を払ったものの、女型巨人の捕獲成功には
胸が震えた。