進撃の巨人(14) (講談社コミックス)

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エルヴィンの過去。父は王政に殺されたのだと言う。
私の人生の使命は父の仮説を表明すること。
そういった過去を背負っていたから、
ああした謎に挑む姿勢だったし、なにかヒントがあれば嬉しいということだったのか。
この壁に逃げ込んだ当時の人類は、
統治しやすいように記憶を改竄されたという仮説。

巨人についての知識が無い自分たちより、
知識を持つ王政サイドに託すという選択肢は
自分の中ではありえないものだった。
エルヴィンはそれも考えた上で、
王政に託してはならないと決意する。
なぜ父は真実に近づいただけで死ななければならなかったか、
王政の役人にも彼らなりの正義があるはずだと思っていたが
彼らが守りたいものは人類ではなく彼らの庭付きの家と地位だけだ
と悟る。
父は人の持つ欲と愚かな息子によって殺されたのですという言葉は
かなり重苦しいものだ。

目の前の正しいと思うことを選んでいたら
いつの間にかクーデターをやることになってしまうというのは
混乱する事態だ。104期生の気持ちになると肌が粟立つ。
100年以上続いてる体制を変える。
自分を食べようとしてくる巨人ではなく、考え方が違う人間を
倒す。「僕らはもう犯罪者だ」という言葉がきつい。

サネスが言う、この狭い壁の中でなぜ今まで戦争が起きなかったのは
俺たちが火種が生まれるたびに消していったからだというのも
ひとつの真実ではあるのだと思う。
技術が進化しないように、真実に気が付かないように。
それは、エデンの園で林檎を食べてはならないといった神とどう違うのか。

ハンジとリヴァイは機転を利かせるわけだが
悪魔と罵られる。これもきついが仕方のないことだ。
ニックにもあんたらがそう見えただろうね、ざまみろばか
というハンジを見て、思った以上にハンジがショックを受けてきたのだなと感じる。
こういう役には多分順番がある、
役を降りても誰かがすぐに代わりを演じ始める、
頑張れよ、ハンジ というサネスの言葉が
これもまた真実であり、家具にあたるハンジの姿が見ていて苦しい。

ヒストリアを女王に即位させるという計画。
ヒストリア感想言え
私には無理ですてきません
だろうなだからそんな事はどうでもいいやれ
というリヴァイとヒストリアの会話は印象に残る。
リヴァイは、わかったじゃあ逃げろ 俺たちから全力で逃げろ
俺たちも全力でお前を捕まえてあらゆる手段を使ってお前を従わせる
と言う。
逃げるな従え、ではないのがリヴァイらしい。
「お前らは明日何をしてると思う?
明日も飯送ってると思うか?
明日もベッドで十分な睡眠を取れると…思っているか?
隣にいる奴が…明日も隣にいると思うか?
俺はそうは思わない」
リヴァイが今まで送ってきた日々を彷彿とさせる言葉である。
確かに地獄が始まるのが明日からではない根拠はどこにもない。
なんとかしたい。
「俺なら巨人に食われる地獄より人が殺し合う地獄を選ぶ
少なくとも人類全員が参加する必要は無いから」
こうした台詞も、リヴァイらしい。
キツイことを言っているようでいて、どこか優しいのだ。

計画は 実質的最高指導者のロッド・レイスを捕らえ
対話をし、その結果相手に正義があると思えば
全てを失うべきは我々かもしれないという壮絶なもの。
しかし答えが明らかになるまで
我々の信じる価値観と倫理観に基づいて突き進むまで。
確かに、そうするしかないのだ。たとえあとから間違っていると気づくことになろうとも。
そうして民衆の前で神の王冠を譲らせ
そこまでしてもようやく「ウォール・マリアの穴を塞ごうとする」
ことができるという遠い道のり。

リーブス商会の件は好きだし、会長がリヴァイを
不器用でお人好しで律儀と評価しているのはほっとするところだ。
筋を通しているのは、きっと地べたから這い上がってきた人間。
ヒストリアに、「あんたの上司は恐ろしい男だが悪い奴じゃない」と、
女王になったらぶん殴ってやれば良いと冗談を言い、
エレンも笑う。
しかしそんなささやかな希望の会話も長くは続かない。

巨人と人の戦いの物語かと思っていたものが
人と人との戦いに展開していく。

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