うさぎドロップ 2 ネタバレあり感想

新装版 うさぎドロップ 2 (Feelコミックス FC SWING) コミックス – 2014/10/8
宇仁田 ゆみ (著)

大吉やコーキの前では本来のりんちゃんの姿なのだろうが
子供ながらにおじいちゃんがいなくなり自分が疎まれていることを
感じただろうお葬式の日のことを思い出せば
態度が頑なになってもおかしくないだろう。
最初は少し心配だったけれど、自分で口に出せないまでも
大吉の実家がりんちゃんの中で
また来たいと思える場所になったことがなんだかとてもほっとする。

自分用の包丁を欲しがるりんちゃん。
自立心がとっても偉いし、親離れしたらさびしいと思う
大吉がすっかりお父さんをしている。
学習机を選ばせるときに、ちゃんと言い方を考えて
「お姉さんぽいやつの方が」というのも面白い。

コーキのお母さんが優しくて良い人で、
人を安心させる術を持っていてという件が素敵だ。

母子手帳におじいさんの遺書があって、
りんのお母さんである正子さんに処分されないように
こうしたというのが成程という感じ。

携帯番号があって、悩んだ末かけてみる大吉は偉い。
謂わば『面倒事を押し付けられた』状態なのに、
ちゃんとりんのことを本当に大切に考えてくれていて、
俺が育てていいのかという母娘への罪悪感もあったという。
すぐにでも母親のもとに返す覚悟があったというのが
凄く恰好良いと思った。

一緒に暮らし始めて笑うようになってくれれば
それは可愛いし、大吉のお母さんだって
孫に作るような気持ちで
刺繍入りの手の込んだ巾着も作ってくれる。
でも、それでも「養子にする」と言える大吉
生半な覚悟で言えることではない。

「だっこぐらいいつまででもしてやるよ」
とさらっと言ってくれる大吉。
気取っていないところが良いし、それを聞いて
うるっとしつつ、はっと気がついて
「まえのときだっこしてあげればよかった
こんどダイキチがないたら
わたしがだっこしてあげるから」
と言うりんちゃんが健気で可愛い。

俺がりんを育てているのか育てられているのか、
と思っている大吉の謙虚さが、
話のテーマとしては思いだろうに
説教臭くなくさらっと読ませてくれて
ほのぼのしたストーリーになっている。