おまえの罪を自白しろ 単行本 ネタバレあり感想

おまえの罪を自白しろ 単行本 – 2019/4/12
真保 裕一 (著)

衆議院議員の宇田清治郎は、総理がらみの疑惑を糾弾されていた。その最中、三歳になる孫娘が誘拐された。犯人の要求は、罪の自白!タイムリミットは、翌日の午後五時。犯人の動機は宇田家への怨恨か。総理の罪を暴くことにあるのか。保身のための駆け引きを模索する官邸サイドと戦う宇田一族。幼き少女を救うための「家族の戦い」が始まる!

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久し振りに真保さんぽさを感じて面白かった。
読者は始めに犯人の名前はわかった状態で、
しかも人質をどう扱うかもわかってしまっているので
不安な気持ちを抱いたまま読んでいくしか無い。
被害者家族に近い気持ちで読み進められる訳だ。

終息したかと思わせてからの二転三転、
きっちり犯人も出してくれるし、被害者も無事助かり
安心の真保節だった。

ただ序盤は晄司が煮えきらないキャラで、
後半から真保さんの本にありがちな勇気と判断力のある切れ者に
キャラ変するのだが、
かと言っていつもの正義感のあるキャラではなくて
汚い政治家という感じの食えないニヒルキャラになってしまい
結局共感ができるキャラではなかった。

政治家はみんな汚いというより、
ダイスをころがせ! の天知達彦のような
清廉潔白で初志貫徹な人もいて欲しいと思う。

たとえば歌舞伎役者とかそういった、その家に生まれたから
その家を、芸を継いでいかなければならないというのと
政治家は少し違うと思う。
文中にあったように、一族が代々継がなくても
別の者がやっても愛郷心があれば大差ないのではないか。
愛郷心というところが問題なのだが。