暗闇のアリア ネタバレあり感想

暗闇のアリア (日本語) 単行本 – 2017/7/14
真保 裕一 (著)

夫は自殺ではない、殺されたのだ。警察から連絡を受けて、富川真佐子は呆然となる。自殺の状況は完璧にそろっていた。でも、絶対に違う。夫は死を選べるような人ではない。この自殺の背後には、きっと何かある―。真相を探る孤独な闘いが始まった。警察庁では、真佐子から相談を受けた元刑事の井岡が、内密に過去の事件を調査していく。次々と明らかになる不可解な自殺…。もし、自殺大国と言われる日本で、多くの「偽装された死」があるとしたら?ついに二人は謎の鍵を握る男の存在にたどりつく。が、彼はすでに異国の地で死んでいた!?闇にうごめく暗殺者は、なぜ生まれたのか?国際的スケールで展開する極上エンターテインメント!

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久し振りに真保さんっぽい展開で面白く読んだ。

冒頭からきな臭い雰囲気に引き込まれる。
舞台は目まぐるしく変わり、繋がっていくところが小気味好い。

夫の自殺に納得できない妻が単に夫への愛で動いている訳でもなく
雑誌記者という肩書があることから女性一人が動く術を持っている
という説得力もある。
納得がいかないというレビューも見かけたが、主人公が
一般人にも関わらず行動力と決断力があるのは真保さんの
話の主人公としては普通なので、自分は気にならなかった。
初めから彼女の言うことに周りが耳を傾ける訳ではなく
警察にしても渋々から始まるというのもリアルだ。

自殺に見せかけた殺人の方法を作り上げ
ヤクザに売り込んで商売にするというのも面白いが
こうしたオチに繋がるとは思っていなかった。

ただもう少し犯人の考えを聞いてみたかった。
犯人に迫りはしたものの逃げられてしまい、
アメリカが絡んできて話が大きすぎて手がつけられず
真相は闇の中、というラストは少々残念。

また他作品に比べて登場人物たちにそこまで感情移入できるキャラが
いないと感じた。
一人くらいはそうしたキャラが居てくれた方が
のめり込んで読めるのでこの点も残念。