つみびと (単行本) 読書レビュー

つみびと (単行本) (日本語) 単行本 – 2019/5/21
山田 詠美 (著)

2010年に起きた実際の事件をモチーフにした小説。
犯人である母、その子供たち、母の母親の視点で
代わる代わる書き連ねられている。
読んでいてかなり苦しく、どう受け止めてよいのか
悩む内容だった。

「真に罪深いのは誰なのか」。
誰が悪いというのは、どうにも言えない気がする。
誰がひとりが悪いわけではなく、多くの関係者
それぞれが少しずつ悪かったとも言える。
勿論犯人である蓮音に罪が無いとはけして言えないが
”見殺し”にしたのは”私たち”だと思う。

このフィクションによって山田さんが
何を思い伝えたかったのかは、自分には
よくわからなかったと感じた。
陰惨な事実、希望、という感じでもないように思う。
子供たちの心理描写には違和感を覚えた箇所も多い。

琴音や蓮音ほどではないが、自分もあまり良い
子供時代を送ってきていないので
ただただ辛い気持ちを共有しながらページを繰った。

周りに良い人はいたことはいたはずだが
良い人過ぎるからなのかいま一歩踏み込んではこず
助けは来ない。

親孝行ってやな言葉。やんないと法律違反してるみたいになる。という兄の台詞は
かなり頷くものがあった。