かなりさらっとした内容の本だと思う。
多少センセーショナルな内容もあるにはあるが、割に淡々とさらさらと描かれている物語。

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正直言うと、タイトルから連想した内容とは違ったし
始まりの展開の仕方はわくわくしたけれど、
タイトルの意味合いもいまいちぴんとはこなかった。

そんな馬鹿な、とか、馬鹿にするな!とか
これを読んでいて思いたくなる人の気持ちもわかる。
ほっとする、癒されるという人の気持ちもわかる。
自分はと言えば、中間かなという感想。

さやかの指が動かない、その怪我を負った理由というか
状況は衝撃的だったし
そうそううまくいかないという気もした。
伊坂幸太郎先生の小説を読んでいて感じる
どうしようもない本当に根っからの悪人、
話が通じる訳がない全く違う人種、という怖さに比べると
そこまでの怖さが伝わってこなかったので
寧ろそこまでしてしまうさやかや、そんなことが起きた場所、状況に恐怖しぎくしゃくしてしまうという
周囲の方が真っ当かなと思った。
『悪人』をこのままにしておいたらどんなことになるか
ということを、もっと描いてくれていれば、主人公に感情移入も出来て良かったのかな
とも思うが、そうするとやはりばななさんの小説とは異なってしまうとも思う。

人との距離感の取り方のヒントになれば、という趣旨のことを、ばななさんが仰っていたそうだが
時間が解決してくれて、どうにもならなかったことがふっとほどけることも人生には確かにあると思う。
確かに今はどうにもうまくいかないけれど、一度距離を取るとうまくいくことがあったり
どうにもならないから逃げるしかなかったり
逃げることや一時撤退を駄目なことに言われることも多いけれど
実は自分や周りを守る為にはとても大事なことで、
無理しなくていい、逃げてもいいというメッセージに救われる人もいるのではないかなと思う。

指の怪我にしても、治るまでに時が必要で
指自体はそれは動いた方が楽に生活出来ると思いがちだけれど
治る兆しが見えるまでに、指が不自由なことで得られた様々なものが
人生という大きなスパンではどうしても大事だったのだと思う。
早く治ってほしい、治らないなんて辛い、というところにしか目を向けられないこともあるだろうが
実は後でなにかきっかけがあって、この未来の為にあった過去だったのだ、と気がつくと
嫌な過去が良い過去に変わることがあるのだ。

“できることをやっていたらいつのまにか叶うのがほんとうの夢”
“どれだけ自分の中に思い込みがあって、それにどれだけしばられているか、それは偏見がない人たちに接してみないとわからない”
“ちょっとした句読点みたいにすっかり街に根を下ろしていた。”
なにげない言葉だけれど、言い回しなどがぽんと腑に落ちる言葉だった。

いつかバリに行ってみたいなと思う。

2015.6.5

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