【読了】花神 (下巻) (新潮文庫)

大村益次郎という人について不勉強なので、あまり知らない。
ただやはり、司馬先生は長州というか、薩長土肥贔屓だなと感じる。
東軍贔屓の自分は読んでいて色々と複雑になるところが多々ある。

筆者の視点が文中に入り込み、知らぬことは知らぬと言い切ったり
こう思う、とか現代ではこう、といったような注釈が入ったりするので、
これが史実・事実でフィクションではないと思ってしまう人が多いのではなかろうか。

時代もあって、この21世紀には当然でも、
当時は明らかになっていなかった『史実』があるのは致し方ないとしても
事実として断言されている書き方は相変わらず少々気になるところ。

下巻でも、長州弁ではない普通の言葉に対して長州弁としているところがいくつかあった。
榎本武揚や近藤勇に関連する記述も引っかかる。

それらを差っ引いて、フィクションとして読む分には
少々冗長ではあるが、医者として、技術者として淡々と生きた男の物語としては
それなりに波瀾万丈で面白いものであると思う。

2015.3.8