明日の子供たち 感想

明日の子供たち 単行本 – 2014/8/8
有川 浩 (著)

想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている! 児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。

諦める前に、踏み出せ。
思い込みの壁を打ち砕け!
児童養護施設に転職した元営業マンの三田村慎平はやる気は人一倍ある新任職員。
愛想はないが涙もろい三年目の和泉和恵や、理論派の熱血ベテラン猪俣吉行、“問題のない子供”谷村奏子、大人より大人びている17歳の平田久志に囲まれて繰り広げられるドラマティック長篇。

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内容など予備知識の無いまま読み進めた。
体当たりでベタで、読みやすい内容だと思う。

特にタイトルと章タイトルが直球ながらにぐっとくる。
明日の大人たち。今大人である人と、これから大人になる人たちが
共に夢見る明日が、今よりより良いものであることを祈りたい。

有川さんの本は阪急電車と図書館戦争から入ったが
正直読めば読むほど、文学というよりラノベかなと感じる。
言葉遣いや展開が甘く感じるところも多く
基本的に直球勝負で、だからこそ感動することもあるが
捻りが無く浅いとも言える。

この作品も、取り扱っているテーマが重めな割には
軽いタッチと文章と展開であり
「内容が薄い」というレビューも多いことも頷ける。

以下ネタバレあり。

何がきっかけでも構わないが
初日から当事者である子供に「テレビで見て可哀想だと思ったから」
と言ってしまう三田村は大人としてかなり酷い。
思っていても言ってはいけないことぐらい区別がつかないのか。

和泉や奏子もいまいち好きになり切れないキャラ。
久志と猪俣と真山は比較的好きだった。
だがそれでも、それぞれに言葉が足りな過ぎ、
酷いなと思うところが結構あった。
全体的に女性キャラが可愛くなさすぎる。
有川作品全体に言えることかもしれないが。

久志が防衛大を目指すのは、学費や生活費のことを考えても
無理ではないが、ここまで自衛隊ががっつり出てきてしまい
更にアッコも自衛隊にいて偶然猪俣と再会する、
人相の悪い男は自衛官だった、というあたり
また自衛隊か、またベタ展開かと正直思ってしまった。
作家の持ち味と言ってしまえばそれまでなのだが
いかにも自分の得意分野に持って行ってしまった感じがしてしまった。

久志が好きな本は2冊買って、1冊は送るようにする
と福原に宣言するのはとてもほっとした。

自分も本を読むことは好きだし、それで救われてきた部分もあるが
単に勉強になる、というだけではなくて
確かに想像力が培われ、全部自分の糧になっていく。

児童福祉が義務であり負担であるように思われているが
実は投資であるというのは確かに、と頷かされた。