【読了】こころが折れそうになったとき 単行本

レビューを見て興味を持ち、読んでみた。
上原氏の著作を読んだのはこれが初めてである。

タイトルやレビューから想像した内容とは少し違ったが、読み応えがあった。
心が折れそうになった時はこうしたらいい、というような
単純であったり押し付けに近かったりするような内容ではなく、
どうしたら良いのか、どうするのか、どうしたのか
ということをひとつひとつのエピソードから、人に体当たりで取材したり
様々な創作物から引用したりして、人の考え方、そこから得た自分の考えが書かれている。

これが良いとかあれが駄目だとかいったことはひとつもなく、
人それぞれのやり方があるのだと実感した。

将来のことを考えるのは結構だが、その為に今を犠牲にするのは違うと思う。
自死した哲学者のエピソードは中々に衝撃だった。
また、自分探しという言葉に対する自分の疑問について、
明快に書きだされており非常に共感した。
自分探し自体は否定されるべきことではないはずなのだが
そこに感じる違和感というのは、どこかへ行けば自分が見つかるという
安易で他力本願なやり方をする自分探しと、
自分自身を見つめ直す自分探しとは全く違うものと言えるのに
一絡げに議論されることが多いからだと思う。

自分を深く掘り下げていけば、井戸が地下水脈に繋がるように
外に広く繋がっていうというのはなるほどと思った。

心が折れそうになった時、自分を支えるのは自分の経験と
そこから何を得て何を決めどこへ進むかということであり、
そんな自分を形作ったのは今まで出会ってきた、親をはじめとする周囲の人間関係なのだと思う。

2014.11.7