【視聴了】永遠の0 DVD通常版

戦争映画と言えばとにかく如何に悲惨かというのを描き
こんなに悲惨なのだからやってはいけないという持っていきかたをする描写のものが多い。
戦争が何故駄目なのかを伝えるとき、戦場が如何に悲惨かをただ述べても意味が無いと思う。戦場は悲惨で当たり前であり、戦場と戦争とは別個のものだからだ。

永遠の0は勿論戦場も描いているが、何よりも人を描いていた。
悲惨さを見せつけて涙させるのではなく、人の言動を丁寧に追い、
それを見ていくと自然に心が動かされるような作りになっている。

現代と過去の視点を両方描く演出もありがちと言えるが
よくある説教じみた内容であったり、こんなに可哀想だったんだ、それに比べて現代は平和だろう、というような比較であったりではなく
祖父の生き様を追う孫が真摯に祖父に寄り添っていき、
初めは面倒だと思っていたが、次第に引き込まれていって
不勉強な学友たちの心ない浅い言葉に傷つく描写など
とても共感を覚え、感情移入しやすい構成だった。

岡田准一さんご本人がストイックな方で、
体も作っていて黙々とトレーニングするシーンにも嘘が無く
リアリティがあるからこそどんどん引き込まれる。
朴訥で、器用に言葉にしないものの行動で気持ちを示す日本男子であり
周りの人間がそれぞれの立場や理由から、それぞれの惹かれ方をし
影響を受け、行動を起こし、それが巡り巡っていく様子も心に迫るものがあった。

日本で作った戦争映画で、こうしてきちんと人間を描いてくれているものは少ないと思う。
それ自体は非常に残念なことだし、この映画は評価されて然るべきだと思った。

映画の中でも語られていたが、日本では戦争に負けたからと言って
戦争にまつわるもの全てがタブー視され間違いであったようにされている。
非常に良くないことだ。
間違った自虐史観の中で、戦争を生の体験として語れる方がどんどん少なくなってしまうことは、本当に取り返しのつかない過ちであると思う。

2014.9.28