この筆者の本は初めて読んだ。
山を舞台にした小説はこれが初めてではないようだが
レビューなどでも辛口のものも目立つとおり
少し甘いというか、フィクションに頼った描写が多い。
全てが都合よく展開するばかりの中での登場人物たちの葛藤は
引き込まれるというよりは俯瞰してしまう感じだ。
自分が今まで読んできた山岳小説に比すると、随分
山の厳しさや楽しさが字面だけの描写で、あまり真に迫ってこない。
ただそれでも山だからこそこんな不思議なこともあるかも
という爽やかさやふんわりした柔らかさ、
自然体で生きるということ、など読み終わって温かい気持ちになれる本
だと思う。
2014.7.20