【読了】千億の夜をこえて ―炎の蜃気楼(ミラージュ) 〈40〉 (コバルト文庫)

遂に最終巻。
戦国モノかと思いきやBLが強くなってきて
途中で投げ出したこのシリーズだが、完結したと聞いてここまで読んできた。
最終巻まで読めて、良かったと思う。
良いラストだった。

以下ネタバレあり。

けしてハッピーエンドとは言えない。
最後まで逆転劇を期待しつつも、どこかで無いとはわかっていた。
だが、高耶が死んでしまったとき、とても辛かった。
高耶としての人生も、景虎としての人生もここで終わってしまう。
二度と輪廻は巡らない。

約束を守れないという高耶。直江を残して行ってしまう。
それを看取った直江がどういった行動をとるのかと不安になったが
自暴自棄に陥ることはなかった。
穏やかに受け止めて、覚悟をしていた。
換生し続けて、この星が滅ぶまで生きる。
最後の命が尽きる瞬間、私はあなたに表明するだろう。
私の愛は永遠だったと。
この言葉はずしりと重かった。

この先の直江の気が遠くなるような年月を
千秋が、もう宿体も変わって千秋ではないのだが、彼が
彼らしい軽口を叩きつつも、共に歩いてくれることが一筋の光のように感じた。

この先、直江と千秋が高耶の桜を見上げることがあるのかもしれない。

あとがきにあった、
本を開けばいつでも会えるところが現実世界とは違うところで
本に記された文字は変わらないが
そこに書かれてある内容は読み手によって変わってくる。
というのは本当にそうだし、
「この物語はこれで全て読み手である皆さんのものになりました」
という言葉が、本当に終わってしまったのだなという感慨や
寂しさや、様々な気持ちを喚起した。

賛否両論なのかもしれないが、自分は
単純なハッピーエンドではなく期待した永遠ではなかったが
非業の死や恨み、霊と現代の人間、そうしたことに
一定の答えを見つけた納得のラストだったと思う。

2015.8.10